FXや株式投資をされている方の中には、「タカ派とハト派は聞いたことあるけど、よく意味が分からない…」といった方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、「タカ派とハト派の違い」と「金利政策をチェックする重要性」について詳しく解説しますので、参考にして頂ければ幸いです。
では早速ですがまいりましょう!
簡単に読む目次
「タカ派」と「ハト派」の意味とは?
実は「タカ派」「ハト派」という言葉は、もともと政治の世界で使用されていた言葉です。
どのように使われていたか?
敵対勢力に対して、タカ派は「武力行使を容認し強硬姿勢で攻める」。ハト派は「平和主義者で穏健に物事を進めようとする」といった姿勢を取ることに使われていました。
つまり、タカ派は鷹のように攻撃的な性格。
ハト派は鳩のように穏やかな性格。
このようにイメージしておけば覚えやすいです。(そのまんまですね)
これは、“金融政策に対する姿勢でも同じ”です。
タカ派は景気の安定よりも、物価上昇の抑制を優先する。一方でハト派は物価上昇を警戒しつつも、景気に十分配慮を取ります。
要するに、
- タカ派=金融引き締め=利上げ
(景気の安定よりも物価上昇の抑制を優先する)
- ハト派=金融緩和=利下げ
(物価上昇に警戒しつつも景気に十分配慮する)
「タカ派」と「ハト派」にはこのような意味があるので、抑えておきましょう。
FRBの金融政策によって変わる為替相場の動向
仮にタカ派「利上げ」になった場合と、ハト派「利下げ」になった場合に、どのように為替相場に影響を与えるのか?お伝えします。
ここでは、分かりやすくドル円相場を例に挙げて解説します。
「タカ派」利上げをするとどうなる?
FRBが利上げに踏み切ると、アメリカの金利が高くなり、資金は金利の低いところから高いところへ流れてきます。
なぜなら、金利が高い方が旨味があるからです。
なので、タカ派の支持が多く利上げに踏み切ると、ドルの人気が高くなり案の定ドル高を生み、他の通貨が弱くなります。
例えば、ドル高になると円安が進み、グングン110円→112円→115円とドル高円安傾向になりがちです。
つまり、FRBが利上げに踏み切ると、“ドル円相場は上昇傾向”になる確率が高いです。
FRB(タカ派)→利上げ→ドル高円安→ドル円相場は上昇
「ハト派」利下げをするとどうなる?
FRBが利下げに踏み切ると、アメリカの金利が低くなるので、資金は低いところから高い通貨に流れていきます。
すると、ドル以外の通貨、ユーロ、ポンド、円、スイスフランなどの通貨が強くなり、ドル安が進む傾向が強いです。
なので、ハト派の支持が強く利下げに踏み切ると、ドルの人気が無くなり、他の通貨に分散してしまうのです。
例えば、ドル安になると円高が進み、110円→109円→107円とドル安円高傾向になりがちです。
つまり、FRBが利下げに踏み切ると、“ドル円相場は下降傾向”になる確率が高いです。
FRB(ハト派)→利下げ→ドル安円高→ドル円相場は下降
利下げ・利上げをグラフで解説
利上げ | 利下げ | |
ドル相場 | ドル高 | ドル安 |
米国企業株価 | 下落 | 上昇 |
円相場 | 円安 | 円高 |
日経平均株価 | 下落 | 上昇 |
新興国通貨 | 下落 | 上昇 |
原油価格 | 下落 | 上昇 |
これはあくまでも一般的な経済原則に沿ったものなので、実際にこの通りに動くとは限りません。
なぜなら、2016年にはFRBが利上げに踏み切り、ドル高円安が来ると思いきや、急に円高が進み日経平均が暴落した過去があるからです。
FRBはどのファンダメンタルズ(経済指標)を見て金融政策を決める?
FRBの意思決定一つで大きく動く為替相場は、どんな基準で利上げに踏み切るのでしょうか。
その基準は大きく3つです。
- 失業率
- 米国雇用統計
- 物価上昇率
下記で詳しく解説します。
❶ ❷ 失業率・米国雇用統計
米国雇用統計の中で重要なのが、「非農業部門雇用者数」が挙げられます。
これは給与払い帳簿を基に算出される雇用者数で、自営業者や経営者は含まれず、アメリカの3分の1以上を網羅するデータになります。
雇用が良くなる指標が出れば、企業も多く生産し設備に投資する意欲が高まることから、金利上がると考えられます。
一方で雇用が減り個人消費が減退すれば、企業も人を雇うことが減ってしまうので、資金需要が低下し金利が下がる傾向があります。
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❸ 物価上昇率
一般的に「物価上昇」=「金利上昇」が見込まれると考えられます。
なぜなら、物価が上昇しているということは、お金の価値が相対的に下がっていることを意味するからです。
すると、国民はお金を持つよりも、物を持つ方が価値を見いだせるので、購買意欲が高まると考え利上げになりやすい。
一方で消費者が購買意欲が衰え、物価がデフレ状態に陥ると金利は下がってしまいます。
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FOMC・FRBの判断基準(分かりやすくグラフで)
指標 | 利上げ要因 | 概要 |
失業率 | 下落 | ・失業者を労働力人口で割ったもの ・16歳以上の男女、約6万世帯が対象 |
米国雇用統計 | 上昇 | ・米国の非農業部門における給与支払い帳簿を基に算出される雇用者数 ・経営者や自営業者は含まれず、米国の3分の1を網羅する雇用者数 |
物価上昇率(PCEコアデフレーター) | 上昇 | ・米国個人消費の物価上昇率を測る指標 ・食品とエネルギーの価格を除いたもの「PCEコアデフレーター」 ・消費者物価指数と並ぶ代表的な指標 |
これ以外にも、週労働時間、平均時給などの指標なども大切です。(米国雇用統計の指標データの中に入っています)
FOMCで「タカ派」「ハト派」はよく使われる
FOMCとは?
FOMCは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合を指します。
日本で言うところの「日銀金融政策決定会合」で、金融政策は決定されますが、アメリカ版は“FOMC”と言われています。
FOMCは一年間に8回ほど金融政策の方針が発表されるため、ドルストレートの通貨ペアは大きく動く傾向が強いです。
日本時間の夜中の3時に発表されることが多く、FXトレーダーは夜更かしして、FOMCに狙いを定めスキャルピングで稼ぐ方が多いです。
FOMCでは、「タカ派」と「ハト派」のメンバーがおり、メンバー全体の度合いがどのように変わるのか?が大きなポイントです。
誰かがタカ派、ハト派の発言をすると、為替相場が大きく動くので、FOMCメンバーの発言には注意を払うようにしましょう。
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まとめ:タカ派は利上げを望み、ハト派は利下げを望む
いかがでしたでしょうか?
タカ派とハト派の違いや、金融政策がいかに為替相場に影響を与えるのか?ご理解頂けましたでしょうか。
では、改めてまとめをお伝えします。
まとめ:「タカ派」「ハト派」
- タカ派=武力行使を容認し強硬姿勢
- ハト派=平和主義者で穏健に物事を進める
- タカ派=金融引き締め=利上げ
- ハト派=金融緩和=利下げ
- タカ派→利上げ→ドル高円安→ドル円相場は上昇
- ハト派→利下げ→ドル安円高→ドル円相場は下降
FXトレードをやられている方、これから始めようとしている方は、米国のFRBの金融政策は注視しておきましょう。
FRBの動き次第で、トレンドが発生する場合も多々あるので、常にアンテナを張っておくことでリスク管理にもなります。
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