- プロスペクト理論って何なの?
- どうしてFXでも影響するの?
- チャート心理を理解したい!
こんな風に、疑問を抱き本記事までだ辿り着いたと思います。
実はFXや株式投資で勝てない原因の多くは、“プロスペクト理論が最大の理由”だと言われています。
昨今では専門書も多く出回っており、トレーダーの間でも人気が高く、なおかつ実践できる理論です。
そこで今回は、「FXで使えるプロスペクト理論」をFX初心者の方でも分かりやすいように、詳しく解説していきます。
プロスペクト理論を知っている人と、知らない人とでは雲泥の差が出るので、この機会に参考にしてください。
では早速ですがまいりましょう!
簡単に読む目次
FX(相場)にはプロスペクト理論が影響する
プロスペクト理論の意味
プロスペクト理論とは?
プロスペクト理論とは、目の前にある利益を確実に得ようとする一方で、リスクがある場合は、その損失を少しでも避けようとする損失回避の理論です。
具体的には、人間は不確実性のもと「利益と損失を自らの意志で決定しなければならない時の判断基準が異なる」と行動経済学で提唱されています。
含み益が出ているときは「出ている利益が減るのが怖い」という心理が働き、少ない利益でも利確してしまいます。
逆に含み損が出ているときは「待っていれば戻ってくるだろ」と、いつまでも損失を許容してしまうのです。
プロのトレーダーでも「損失を抱えているポジションよりも、利益を抱えているポジションを約 25%も早い段階で決済している」というデータもあります。
例えば、宝くじを例に出すと、
- 確実に20万円を貰える宝くじ
- 25万円貰えるが30%の確率で貰えない宝くじ
どちらを大半の人間は選ぶか?
それは、前者の「確実に20万円を貰える宝くじ」。
なぜなら、人間は目の前にある利益を確実に得られる方を選ぶからです。
では次に、駐車場の罰金を例に出すと、
- 絶対に3万円の罰金を払わなければいけないケース
- 30%の確率で罰金を払わないケース
どちらを大半の人間は選ぶのか?
それは、後者の「30%の確率で罰金を払わないケース」です。なぜなら、人間はなるべく損をしたくない生き物だからです。
プロスペクト理論では、意思決定の不合理さが如実に現れます。
ではFXトレードで例えると、
- 損をするのが嫌だから利確のスピードが速くなる。
- 損したくない気持ちから逆に損失額が増えてしまう。
- 「損小利大」ではなく「損大利小」になってしまう。
- コツコツ稼いできて、ドカンと損を出してしまう。
このようなパターンに陥るケースが多いです。
このように、人間は「目の前にある利益は得したいと考える一方で、なるべく損したくない」という心理が働くのです。
これがまさしくプロスペクト理論です。
人間は損を極端に避ける
人間は「得をした時の嬉しさよりも、損をした虚しさを強く感じる」という心理があります。
例えば、FXで10万円を稼いだ時より、10万円を損切りした時の方が、より人間の感情は高ぶります。
10万円を稼いだ嬉しさを100とするなら、10万円の損切りをした虚しさはマイナス200くらいだと言われています。
経済学者の筒井義郎氏ら曰く、その損失がもたらす影響は、利益を得たおよそ“2.25倍”だそうです。
つまり、同じ10万円という価値は、金額に対して比例しておらず、損失がもたらす影響の方が強いのです。
勝っていると安定志向・負けているとリスク志向
FXトレードをやられている方は、勝っている時ほど慎重になり、負けているほど大きな博打をしてしまった経験があるかもしれません。
とはいえ、冷静に考えると、勝っている時ほど余裕があるのだから、大きな勝負に出て、負けている時ほど慎重になるべき。
ですが、FXですでに勝っている人は、さらに数万円を勝つ嬉しさよりも、数万円負けた時に味わう虚しさを強く感じます。
したがって、FXで勝っているときは、負けることを強く避け、安定志向になってしまうのです。
一方で、FXで負けている時には、さらに数万円負ける虚しさよりも、数万円を取り返す喜びの方が大きくなる法則があります。
つまり、FXで勝っている時は安定志向で、負けている時こそリスクを取ってトレードする傾向があるのです。
サンクコストが強く影響する
プロスペクト理論を語る時に同じく重要なのが、サンクコストについてです。
サンクコストとは?
サンクコストとは、投資や事業に投下した資金・労力のうち、事業の撤退や縮小をしても戻ってこない資金や労力のことです。
つまり、過去に投資したお金を無駄にしたくない心理が働き、さらに大きな損失を出してしまうことです。
特にこのサンクコストは、プライドが高く頑固な性格の人ほど陥りやすいので注意しなければいけません。
例えば、大学生から新入社員になり、ある会社を1年勤めてその後辞めたとします。
すると、その仕事に向いていないと知っているのにも関わらず、「せっかく1年間働いたのだから、その経験を活かした仕事に就きたい」と思ってしまうのです。
これはまさしくサンクコスト効果です。
- 過去に頑張ってきたこと
- 過去に経験してきたこと
- 過去に労力をかけたこと
に対して、人間は勿体無いという気持ちになるのです。
FXで例えるなら、例えば、頑張って見つけたテクニカルメインのオリジナル手法で、今まで稼いできた経緯があるとします。
そのため、「テクニカルなしのトレードなんてあり得ない…」と思い、なかなかファンダメンタルズを取り入れようとせず、過去の手法に固執してしまう。
つまり、そのトレーダーが過去に使用していた手法にかなりの労力をかけてきたため、新しいことを取り入れることに抵抗があるのです。
これもまたサンクコスト効果です。
FXで働くプロスペクト理論の対処法とは?
では次に、FXで働くプロスペクト理論にどのように対処すればいいのか?について詳しく解説していきます。
出口戦略を考えてからエントリーする
FXで勝つためには、いかにプロスペクト理論通りにさせないかがポイント。
そこで意識すべきは、出口戦略を立ててからエントリーすることです。
例えば、
- エントリーポイント
- 利確ポイント
- 損切りライン
などを設定し、必ずエントリーする前に行うようにしましょう。
特にFXで勝てない方は、途中でエントリーポイントなどを何度も変えてしまう方が少なくありません。
こういった人は、ポジポジ病を誘発させ悪循環サイクルになる確率が高まるので要注意です。
なぜなら、何度も変えるということは、そこにはトレード根拠や優位性などが無く、ただ単に「稼ぎたい」という感情しかないからです。
プロスペクト理論通りにさせないためには、
- ここからここのpipsを刈り取る
- エントリーはここでイグジットはここ
- 損切りラインはここに設定する
などと決めてからエントリーしましょう。
エントリー後はチャート画面を見ない
プロスペクト理論通りにさせないためには、エントリー後はチャート画面を見ないようにしましょう。
なぜなら、先述でもお伝えしましたが、FXで勝てない人はエントリー後もチャートを見続けたり、チャートの動きに耐えられず、異なるアクションを起こしてしまうからです。
例えば、
- 新しいポジションを持ってしまう
- 損切りラインを広げてしまう
- 利確ポイントを下げてしまう
- ナンピンをしてしまう
などの行動をとってしまうのです。
そもそも、“FXは準備が9割”と言われています。
チャートはあなたの都合で動きませんから、エントリーしたら極論見なくて大丈夫なはずです。
相場を目で追っていると、プロスペクト理論が強く影響しますから、エントリーしたらチラチラ目で見る程度で静観しておくことをオススメします。
何度もトレードを重ねていくと、自分の勝ちパターン、負けパターンを把握できるようになり、徐々に自分の手法に根拠や優位性が付いてきます。
相場に感情を持ち込まず機械的にトレードする
プロスペクト理論の対処法として、相場に感情を持ち込まないことが挙げられます。
というのも、FXはあなたが思っている以上に、メンタル面や心理状態、感情などに強く影響を与えると言われています。
自分の感情に振り回されてしまうと、トレードで勝ち続けることは難しくなるので、機械のようにトレードすることが大切です。
機械的なトレードとはズバリ、“トレードルールを確立させること”です。
トレードルールとは、自分が決めた独自ルールです。
例えば、
- 移動平均線が〇〇になったらエントリー
- チャートの形状が〇〇になったからエントリー
- 〇〇時になったから買いエントリー
- 指標で〇〇が出たから売りエントリー
- ボラが無い相場はやらない、リバ取りだけやる
こんな風に、細かくトレードルールを確立できれば、プロスペクト理論の効力を発揮させずに済みます。
すると、徐々に勝率が上がっていき、経験値が付くと「これだ!」と思えるトレードルールやスタイルが確立されるでしょう。
それでもFXでプロスペクト理論に対処できないなら
もしも、FXトレードでプロスペクト理論に太刀打ちができず、四苦八苦されているなら違った視点から物事を見てみましょう。
いくつか対処方法があるのでご紹介します。
システムトレード
システムトレードとは、前もって決められたルールに従い、機械的・継続的に行う取引のことです。
機械が自動的に売買をしてくれるため、プロスペクト理論が入る余地がないので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
特にインヴァスト証券のシストレ24は、FX自動売買の口座数はNo.1で、FXシステムトレードの先駆者的な存在です。
FX初心者からでも気軽にシステムトレードできる環境が整っているので要チェックです。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、時間や手間をかけず資産運用を自動で行ってくれるサービスです。
AIを使用したロボットが、過去のデータを元に売買を繰り返してくれるため、これもまたプロスペクト理論が入る余地がありません。
最近はAIの発達から多くの大手証券会社がロボアドバイザーを導入するようになり、投資初心者の多くが登録されています。
特にWealth NaviやTHEOなどがオススメなので、「AIに安心して資産運用を頼みたい!」と考えている方は非常に魅力的なサービスです。
ちなみに、AIではなく機関投資家の方に資産運用を任せるサービスがありますが、手数料が物凄く高いため庶民にとってはオススメできません。
まとめ:FXで働くプロスペクト理論
いかがでしたでしょうか。
今回はFXで働くプロスペクト理論について詳しく解説してきました。
では改めて“まとめ”をお伝えします。
まとめ:FXのプロスペクト理論
- 人間は得するより損を避ける
- 意思決定の不合理さがある
- 勝っていると安定志向
- 負けているとリスク志向
- サンクコストが強く影響する
- FXは9割が準備で決まる
- 出口戦略を決めてからトレードする
- エントリー後はチャートは見ない
- 機械的にトレードをする
- 相場に感情は持ち込まない
FXで継続的に勝つには、いかにプロスペクト理論通りにさせないかです。
今回お伝えした対策方法を試してみて、少しずつFXで勝つための努力をしていきましょう。
知識や知恵は知っている人と知らない人とでは雲泥の差になるので、今日から意識してみてください。
ちなみに、このプロスペクト理論を上手く活用できれば、FXに限らず、株式投資、仮想通貨の取引でも役立つので抑えておきましょう。